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新山崎流(駒組み)

テーマ1図

初手からの指し手

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △8六歩
▲同歩 △同飛 ▲3四飛 △3三角 ▲3六飛 △2二銀
▲8七歩 △8五飛 ▲2六飛 △4一玉 ▲4八銀 △6二銀a
▲3六歩 △5一金 ▲3七桂 △7四歩b ▲3三角成c △同桂
▲3五歩d (テーマ1図)
a ・・・△7四歩の変化を第1図より
b ・・・分岐点。△1四歩の手待ちも有力。△8六歩を第6図より
c ・・・先に▲3五歩は手順前後。第13図より
d ・・・先手の分岐点。▲7七桂も有力

8五飛車戦法に対して、現在最も有力とされている新山崎流と呼ばれる戦法です。この戦法は駒組みを最低限に留めて、中原囲いの弱点である3三の桂頭を目標に攻勢する狙いです。本ページでは、基本となるテーマ1図までに考えられる後手からの反撃手段と、新山崎流の正しい駒組みを解説していきます。
まずは第1図より、24手目に△7四歩として後手から動く変化を記していきます。

変化:△8六歩からの急戦策

第1図 参考図

第1図以下の指し手

▲3六歩 △8六歩
(第2図)

この変化はあまり指す人も多くないので、無理に知る必要もそれほどないと思います。参考程度にどうぞ。一応後手もそこそこの戦いを起こせます。
△7四歩は次の▲3六歩に対して△8六歩の仕掛けを用意した一手。同じようでも、本手順の△6二銀~△8六歩と仕掛けるよりも飛車や角の打ち込みに対して強く、より強く△8六歩からの戦いを可能としています。
もちろん、第1図から△8六歩の仕掛けを自重してテーマ1図の局面に合流することは可能です。ただし第1図より、先手からいきなり▲3三角成~▲7七桂(参考図)と乱戦にくる変化も有力となります。従って、もし仕掛ける意思がないのであれば、第1図の△7四歩のところでは△6二銀を先にして駒組みすべきです。

飛車切りの強襲

第2図 参考図

第2図以下の指し手

▲8六同歩 △同飛
▲3五歩a △8八飛成
▲同銀 △5五角打
(第3図)
a ・・・最善手

第2図より▲8六同歩△同飛に対して▲3五歩が最善の応手。▲8七歩と無難に局面を治めようとするのはやや疑問で、以下△7六飛▲3三角成△同桂▲7七歩△2五歩▲同飛△同桂▲7六歩△8八歩▲同銀△2七飛(参考図)と先着され、先手不満の展開です
この局面に限らず、新山崎流ではなるべく守勢に回らないよう攻め合いに持ち込むのが良いです。やはり後手に手を作られてしまうと守りの弱さが響いてくるからです。本手順は、飛車を切って△5五角打が後手狙いの一手です。

大きな効かし・その1

第3図 参考図

第3図以下の指し手

▲8二歩 △同銀
▲3七銀a △3六歩
(第4図)
a ・・・▲3七桂は危険

この瞬間に▲8二歩と、横歩取りでたびたび出てくる手筋の叩きを入れておくのが最善手。ここで入れておかないと入らない可能性もあるので、必ず入れておきましょう。これを手抜いて△8八角成とするのは、以下▲同金△同角成▲8一歩成△8九馬▲2四桂(参考図)が詰めろで先手勝勢です。途中▲8一歩成に△6二銀ならば、今度は▲3四桂から打つ手が受けづらく、これも同様に先手勝勢となります。
従って、本手順の▲8二歩に対しては△同銀と取る一手。この効かしが入るのは大きいです。これによって△8八角成の2枚換えには▲8五飛の反撃を見せています。とはいっても、1九の香取りを受けなければいけませんが、意外と悩ましいところ。▲3七桂と受けるのは悪手で、これには△8八角成から2枚換えを挑まれると、▲8五飛の反撃には△7八馬が詰めろとなり先手敗勢です(壁銀が祟る形)。よって、▲3七銀とし壁銀を解消させながら、香取りを受けるのが正しい応手。以下△3六歩から強引に手を作ってきます。

大きな効かし・その2

第4図 参考図

第4図以下の指し手

▲3四歩a △4四角上
▲3六飛 △2八歩
▲4六銀 (第5図)
a ・・・大切な一手

ここでも単に▲3六飛と歩を掃うのではなく、一回▲3四歩△4四角上の交換を入れておくことが大切です。これを手抜いて△3七歩成には、以下▲3三歩成△同桂▲2一飛△3一銀▲5六飛△4八銀▲6八玉(参考図)が一例で、とりあえず普通に指せば先手悪くなることはないです。
後手は大駒2枚を盤上に使ってしまっているため、落ち着いた展開にすることはできません。△2八歩とさらに強く踏み込んできます。

攻めに厚みを加えて(先手やや良し)

第5図 結果図

第5図以下の指し手

△2九歩成 ▲5五銀
△同角 ▲2三歩a
△同銀 ▲3三歩成
△同角 ▲7七桂
(結果図)
a ・・・▲7七角は次善手

本手順、歩を2枚捨ててしまって少し勿体ないですが、馬を作られてしまうと先手玉も危ないので、▲2三歩~▲3三歩成として角を一旦3三のところに移動させておきます。そうしてから▲7七桂と、この桂馬を活用させて結果図です。その局面はやや先手優勢か。なお、▲2三歩のところで、▲7七角と角交換をするのも有力ですが、以下△同角成▲同桂△2七角と進んだとき、先手が勝つのも容易ではないと思います。

変化:△7四歩に変えて△8六歩

第6図 参考図

第6図以下の指し手

▲8六同歩 △同飛
▲3五歩a △8五飛b
(第7図)
a ・・・最善手
b ・・・△2三歩を後述

続いて、後手からの△8六歩急戦策その2です。現在、こちらの変化は新山崎流の有力なテーマ図となっています。図の△8六歩に変えて、△7四歩から△7三桂と駒組みするのが自然ですが、△7四歩の瞬間に▲3五歩から攻められる恐れがあります。そのため、△8六歩から横歩を取りにいく狙いを見せて、先手に動いてもらうというのが、後手の狙いです。これ以外の定跡である△1四歩や△9四歩、△5六歩も同じく間合いを計る意味合いが強いです。
本手順▲8六同歩△同飛に▲3五歩と飛車の横利きで歩取りを受けます。▲3五歩のところ、▲8六歩と横歩を取らせるのは、以下△7六飛▲3三角成△同桂▲7七歩△7五飛▲8二角△2五歩▲2九飛△3五歩(=参考図)と進み後手有利。本譜▲3五歩に△8五飛と引いて、3五の歩を取りにいきます。また、△8五飛のところで△2三歩は後述します。

△2三歩の変化

A図 B図
横歩取りの将棋では、A図のように△2三歩と受けるのはなるべく避けるべきです(持ち歩1歩と2歩の差が大きい)。ただし、A図の局面では▲3三角成に△同銀と取る手を用意し、3五の歩を飛車で取りにいく狙いがあります。歩を取りきれれば△2三歩と打った手も活きます。
しかしA図以下、▲9六歩△9四歩▲5六飛△8二飛▲7七桂△4二角▲8五歩(=B図)とひねり飛車を目指すのが有力で、先手十分の形勢です。B図は先手も歩が伸びすぎなところはありますが、桂馬の働きの差は大きいです。

飛車をぶつける

第7図 参考図

第7図以下の指し手

▲7七桂 △3五飛a
▲2五飛 (第8図)
a ・・・△8二飛を後述

第7図から▲8七歩と受けるのでは面白くないので、▲7七桂は当然の一手。この手に対して△3五飛が気になりますが、▲2五飛車とぶつけて先手十分戦えます。△3五飛に対して、▲3六歩と受けるのは疑問で、以下△3四飛となった局面は、先手から動くのが難しくなってしまい不満です。ちなみに、▲8二歩の桂取りが厳しそうに見えますが、以下△8七歩▲同金△8四飛(参考図)と進み、先手が余計に悪くなってしまうので注意しましょう。なお、途中▲7七桂に対して△8二飛と縦に逃げる手も定跡ですが、これは後手不利です。この変化については後述します。

△8ニ飛の変化

A図 B図
A図は△8五飛のところで、深く△8二飛と引いた局面。前述(第6図A図)の△2三歩と同じく、この場合も先手はひねり飛車にするのが有力となります。この展開は、手順に▲7七桂が入っていますから、すぐに▲6五桂と殺到する順も相当です。そこで、それを防ぐ△6四歩ですが、これをまとめきるのは大変です。一例として、A図以下▲9六歩△6四歩▲7五歩△6三銀▲5六飛△4二角▲8五歩と進めて先手作戦勝ちとなります。

先手好調な攻め(※書き直し予定)

第8図 参考図

第8図以下の指し手

△2五同飛 ▲同桂
△1五角a ▲2三歩
△同銀b ▲6五桂
(第9図)
a ・・・△5五角を第11図より
b ・・・△3三銀が最有力

▲2五飛と飛車をぶつけた手に対しては△同飛がこの一手。△3四飛と逃げるのは▲4五桂(=参考図)と攻めて、攻めが続きます。2筋、3筋に歩が叩けますから、ここに手がついてしまうと後手陣は相当持たない格好です。
本手順、飛車交換のあとの▲2五同桂が角取りで調子良いですが、△1五角と逃げながら先手玉を睨み、これが意外とうるさい形。この△1五角のところでは△5五角も有力なので、第11図より書いていきます。△1五角に対して、一回▲2三歩の叩きを入れておいてから、▲6五桂と壁形を解消するのが好手順です。
途中▲2三歩と叩いた手に対して△3三銀と逃げるのが現在の課題の局面で、どうも先手が思わしくない感じがします。一見▲3三桂成と銀・桂交換して先手良しに見えますが、桂馬を渡すと△3六桂の反撃が厳しく、すぐには取れません。いつになるかわかりませんが、その変化を後手の最善手として書き直したいと思います。また、△2三歩の叩きに対して、△同金という手もありますが、これは▲2四歩と叩くのが好手です。△同角の一手ですが、これで1五から睨む角のラインが消えるので▲6五桂と跳ねて先手ペースです。

2枚の桂馬が大きい(先手勝勢)

第9図 参考図

第9図以下の指し手

△2九飛 ▲2六歩
△3七歩a ▲3九歩
△3三桂 ▲2一飛
△5二玉 ▲3三桂成
△同角 ▲同角成
△同金 ▲1一飛成
(結果図)
a ・・・△同角を次の第10図より

△2九飛に対してすぐに▲1一角成は△2五飛成▲2一馬に△3六桂が厳しいです。そこで、△2六歩と犠打を打っておくのが好手。これに対し構わず△同角も結構難しいので、この変化を次の第10図より記しておきます。
本手順は△2六歩に▲3七歩としますが、丁寧に受けて▲1一角成を実現させれば自然と優勢になります。△3三桂と頑張りますが、進んだ結果図の局面は先手勝勢です。

変化:▲2六歩に△同角(先手1手勝ち)

第10図 参考図

第10図以下の指し手

▲1一角成 △4八角成
▲同玉 △2五飛成
▲2一馬 △2八龍
▲5九玉 △3六桂
▲3三歩 △3一金
▲1一飛 △2一金
▲同龍 △5二玉
▲3二歩成 (結果図)

第10図は△2六歩に対して▲同角と強気に応じた局面。こう進むとどちら詰ますのが早いかの勝負となります。この場合は、途中の▲3三歩が急所で先手の攻めの方が早いです。結果図の▲3二と・とした局面は▲4二金以下の詰めろとなっており、先手の1手勝ちです。6五の桂馬が5三の地点に効いているのも心強く、後手が何か受けたとしても▲5六香と攻め立てて一手一手の寄せとなります。

分岐:△1五角のところで△5五角

第11図 参考図

第11図以下の指し手

▲8五飛 △1九角成
▲2一飛成 △2九飛
▲2三歩 △同銀
▲6五桂 △2五飛成
(第12図)

第11図は△1五角に変えて、△5五角と中央に交わしたところ。直接先手玉には響きませんが、▲6五桂を一時的に封じて攻め合いに持ち込む戦いです。もしすぐに▲3三歩と叩きいてきた場合は△3一金と引いて頑張り、△1九角成から△3六歩に期待します。
本手順はシンプルに▲8五飛△1九角成▲8一飛成と攻めあいの展開です。以下、△3六歩は▲3八歩と受けておいて大丈夫。かえって、後の△3六桂が打てなくなってしまう分、後手にとってはマイナスです。従って、単に△2九飛と打ちますが、前述と同様に▲6五桂が玉の懐を広げつつ攻めにも効いて、大きな一手となります。これに対して角成りを受けるのは疑問手で、△3三歩では▲4五桂と足し算の攻めが厳しく駄目。また、△4四香と受けるのも、以下▲2二歩△同金▲4四角△同歩▲4三桂(参考図)と進み先手優勢です。

攻めあいを目指す(先手優勢)

第12図 結果図

第12図以下の指し手

▲1一角成 △3三桂
▲2四歩 △3四銀
▲4六桂 △3六桂
▲3九銀 △3八歩
▲同金 △3七歩
▲3四桂 △3八歩成
▲2三銀 (結果図)

第12図より▲1一角成△3三桂に、焦点に叩く▲2四歩が好手。△同龍は▲5六香(以下△5二香は▲8四桂で先手優勢)、△同銀には▲2三歩が厳しいです。結果図の局面より、△3九と・としている暇はないので△3七馬か△4二と・くらいですが、いずれも▲6八玉と逃げておいて、攻めあい勝ちを目指します。地味に6五の桂馬も効いているので、先手の攻め幅は広く、実戦的にもかなり勝ちやすい局面と言えます。
ここまでが△8六歩急戦の定跡となります。一見後手もやれそうに見えると思いますが、どこかで▲2三歩の叩きからの攻めが厳しくなり、これによって先手良くなるケースが多いです。逆に言うと、この筋を上手く活かすことができないと先手番でも苦戦しますので、常に▲2三歩の叩きを意識して指しましょう。

変化:角交換のところで先に▲3五歩

第13図 参考図

第13図以下の指し手

△2五歩 (第14図)

定跡ではありませんが、角交換を後回しにして先に▲3五歩をついた変化を最後に紹介します。この場合は、以下△8八角成▲同銀△7三桂(参考図)として、無難に局面をおさめるのが良いでしょう。せっかく突いた3五の歩が空振りに終わり、先手不満のわかれです。参考図以下、▲3六歩も△3五飛で結局取られてしまいます。本手順では、第13図より△2五歩と反発する順も有力ですので、それを紹介しておきます。これも互角に近い戦いができます。
ということで、第13図の▲3五歩は悪手ではありませんが、やや疑問手です。間違いやすいところなので注意しましょう。

△6四角が受けづらい(後手やや有利)

第14図 結果図

第14図以下の指し手

▲2九飛a △8八角成
▲同銀 △3六歩
▲2五桂 △6四角
(結果図)
a ・・・▲8五同飛を第15図に

第14図の△2五歩の叩きに▲2五同桂と取るのは、これには当然△8八角成▲同銀△2四歩として、後手の桂得が確定します。ただし、後手も歩切れで、それほど形成に差がつくわけではありませんので楽観しないようにしましょう。本手順では、少しまぎれを求める▲2九飛としています。ここでは▲2五同飛が勝ります。その変化を第15図で紹介します。
▲2九飛に対して、角交換から△3六歩が桂頭を攻める自然な攻め。以下▲2五桂に△6四角と打って後手有利となります。次の△3七歩成が地味に受けづらく、▲4六角とあわせるのも、以下△同角▲同歩△3五飛(すぐに△3五飛は▲4六角がある)と進んで、先手失敗した格好です。

飛車角総交換(形成不明)

第15図 結果図

第15図以下の指し手

△3六歩 ▲3四歩
△8八角成a ▲同銀
△2五飛 ▲同桂
△2九飛 (結果図)
a ・・・△2五飛は▲3三歩成

第15図は△2五歩の叩きに▲同飛と応じた局面。普通こういうのは取れないのですが、3五に伸びた歩が影響して、一応ある手です。以下、8五飛車戦法の定番の仕掛けである△8六歩から攻めるのは、強気に▲3四歩と飛車をぶつけて、これは先手不満ないでしょう。やはり、後手としては△3六歩から桂頭を攻めるのが良さそうです。
結果図の局面は、後手が先に飛車を打ち込み、後手良しに見えますが、▲2三歩の叩きが厳しく形成は互角に近いと思います。結果図以下、▲2三歩に△同金は▲3三歩成△同桂▲2四歩が悩ましいです。
ということで、第14図の△2五歩は動きすぎのきらいもあります。互角の戦いができれば、後手としては満足という考え方もあると思いますが、受け間違うと一気に終わってしまうので気の抜けないところです。

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